- 遺言書とは
- 種類と作成
- 公正証書遺言
遺言書を作成する意味とは
「遺言」とは、自分が生涯をかけて築き、かつ守ってきた大切な財産を最も有効・有意義に活用してもらうために行う、あなた(遺言者)の人生の最終意思表示です。
世の中では、遺言が無いために、相続を巡り親族間で争いのおこることが少なくありません。今まで仲の良かった家族や親戚が、相続を巡って骨肉の争いを起こすほど、悲しいことはありません。
遺言書があれば、遺言者の残した財産の帰属を生前自らが決めることによって、相続を巡る争いを避けるとともに、自分の死後、残した財産をできる限り自らが望んだように帰属させることができます。(ただし、法律が保証した最低の相続分である遺留分を侵害すると問題になる場合があります。)
あなたのために、また、残された家族のために遺言書を作成しませんか。
お気軽にご相談ください。
基本的な考え方
1.【遺言書を特に必要とするケース】
<1> 子供がいない場合
<2> 法定相続人でない者、療養・介護に当たった人に財産を与えたい場合
<3> 相続人同士が不仲である場合
<4> 事業を特定の者に承継させたい場合
<5> 相続人がいない場合
<6> 内縁の妻がいる場合
<7> 事実上離婚している場合
<8> 相続財産が多い場合
2.【遺言のできる人】
遺言は満15歳以上であれば、だれでもすることができます。
3.【遺言の効力】
遺言は、遺言をした人が死亡した時から効力を生じます。
遺言は、たとえ夫婦であっても、2人以上の者が同じ証書ですることはできません。
したがって、夫婦で遺言書を作成する場合は、各自1通ずつ作成することになります。
4.【遺言の撤回と取り消し】
遺言は、遺言をした人が死亡するまでは、いつでも撤回することができます。
また、詐欺・強迫によって遺言をした場合、遺言者・相続人ともにこれを取り消すことが可能です。
5.【遺言書に書くことができる事項】
<1> 相続分を指定すること又はその指定を委託すること
<2> 遺贈をすること
<3> 相続人の廃除および廃除を取り消すこと
<4> 認知をすること
<5> 遺産分割の方法を指定すること又はその指定を委託すること
<6> 遺言執行者の指定をすること又はその指定を委託すること
<7> 生命保険金の受取人の指定、変更をすること
<8> 祭祀承継者の指定等をすること
です。これ以外の事項を遺言書に書いても、法律的な強制力は生じません。
種類と作成
6.【遺言の種類と特色】
全部で7種類ありますが、一般によく行われるのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。
7.【遺言の要式性】
遺言は民法に定める方式に従わなければ、作成することができません。
したがって、様式不備の場合は無効となります。
8.【遺言書の作成方法】
<1> 自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、本人が手書きで遺言書を作成してする遺言のことです。
以下の4つの要件を満たしたものであれば、遺言書としての効力が認められます。
(1)全文を自分で書くこと
(2)日付を自分で書くこと
(3)氏名を自分で書くこと
(4)押印すること
ただし、すべて自筆でなければならないので、パソコンやワープロは使用できません。
また、日付については、特定できることが条件です。したがって、「何年何月吉日」などの記載された遺言は無効になります。年月日をきちんと記載することが必要です。
訂正については、民間で通常行われている文書訂正よりも厳格な訂正方法を要求されますので、始めから全部書き直した方が無難でしょう。
押印については、制限がありません。印鑑証明のある実印や認印はもとより、拇印でも足りるとされています。
この方式は、費用も少なく1人で簡単に作成できて便利ですが、様式不備で無効になったり、紛失、隠匿、偽造の恐れがあります。
<2> 公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人に作成してもらってする遺言書のことです。
具体的には、遺言者が、公証人役場などで、証人2名以上の立会いのもと、遺言の趣旨を公証人に口で伝え、公証人がそれを筆記します。その後、公証人がこれを遺言者と証人に読みきかせ、遺言者と証人が、筆記が正確なことを確認して署名押印し、さらに公証人が署名押印して作成されます。
この遺言書は、遺言者が100歳に達するか、20年のどちらか長い方の期間、公証役場に保存されます。証人については、相続予定者や遺贈予定者とその配偶者などはなることができません。押印については、実印を使用しなくてはなりません。
この方式は、費用は高くなりますが、様式不備の恐れがなく、紛失や偽造のなどの恐れがないのがメリットです。
最もお勧めの遺言方式です。
公正証書遺言の作成
9.【公正証書遺言の作成にあたって準備するもの】
10.【公正証書遺言を作成する場合の手数料】
<1> まず、遺言の目的たる財産の価額に対応する形で、その手数料が、下記の通り定められています。
<2> 上記の基準を前提に、具体的に手数料を算出するには、下記の点に留意が必要です。